蓑健太郎 弁護士ブログ

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弁護士 蓑健太郎が
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自研センター

2泊3日で千葉県の株式会社自研センターに行ってきました。

ここは、損保会社が共同出資した設立された株式会社で、自動車事故における物損の修理額算定のための指数算定や、アジャスター(保険事故における各種損害調査業務に携わる調査員)や保険事故に携わる弁護士などの専門家に対する研修などを行っている機関です。

私は、LAC(弁護士保険制度)契約弁護士として、損保会社代理人の弁護士に混ざって研修を受講してきました。

講義の内容は、自動車の車体構造や塗装の方法、ブレーキやシートベルトの構造の講義や、自動車衝突時の車体変形の特徴(正面衝突、側面衝突、斜めからの二次元衝突など)、事故車両に表れる車体損傷の特徴など、普段の業務では分からない、正に損保会社における損害調査活動のエッセンスを凝縮した内容となっており、非常にためになりました。ただ、衝突時における車両の速度の推定の話では、物理学の講義よろしく様々な数式が出てきてやや観念的な印象を受けました。

研修2日目では、バリア衝突実験が行われました。カローラを時速38キロ程度で別のカローラに追突させて、車体の損傷状況や部品の散乱状況、車内の状況などを見る試験です。衝突車両の前部は被衝突車両の後部より損傷が少ないこと(現在主流のFF車ではボンネットにエンジンなど重要な部品が集中しているのに対し、リアにはトランクしかないため、後部が壊れやすい構造になっている)、追突後の被衝突車両の速度は衝突車両の速度を2台の車両で分け合うために半減すること(今回は、衝突車両38キロ、被衝突車両20キロ程度でした)、衝突後は衝撃でエアバッグが開き、シートベルトが巻き取られて硬直し、ワイパーが作動したりするが、カーナビは作動に問題がないことなどを実際に見分しました。

日々交通事故自件を扱うときには、損保会社や修理工場から出た修理内容についてさほど詳しく追究することはあまりないですが、この研修を受けたことでよりこの種の事案に対して深く取り組むことができるように感じました。

以下のビデオは私が撮影したバリア衝突実験の映像です。拡大してご覧下さい。

jaifa講演

知人のつてでjaifa(公益社団法人生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会)富山支部からご依頼を受けて、講演をさせていただきました。

テーマは、相続人同士が遺産を巡って争う「争族」についてです。

与えられた時間が2時間と、私にとっては長丁場でしたし、初めてパワーポイントを使っての講演となりましたが、案外時間通りに終えることができました。

当日は多くの生命保険外務員の方々にお越しいただきました。

生保レディー(&ジェントルマン)の方々にとっては、相続で争いとなる事例はあまり経験がないようで、新鮮な内容だったとの感想をいただきました。

ちなみに7月にも砺波経済同友会で事業相続のお話をさせていただいたのですが、同じ相続でもこのときとはやや視点の違うお話となりました。年内もあといくつか講演の予定があるので、徐々に慣れていきたいと思います。

↓今回の講演の紹介ページ

http://www.jaifa.or.jp/public/event/2095.html

夏期研修

今年も中弁連夏期研修に行ってきました。

8月30日と31日の2日間にわたって行われ、中弁連管内から400人(主催者発表)の弁護士が研鑽を積むべく、名古屋の地に集いました。

4人の講師が4つのテーマで講演されました。

⑴ 刑事事件における事実認定

⑵ 中小企業における事業再生の実務

⑶ 判例から学ぶ弁護過誤の防止策

⑷ 「問題社員」対応の法律実務

⑴の講義の中で印象に残ったのは、日本では証人に対する偽証罪での起訴が少ないことです。

2007年の調査では、韓国では1544人も起訴されているのに対して、日本では9人しかいないそうです。

単に表面化しないだけで、実際にはもっとあるようです。

⑵の講義は、東京の先生のお話だったので、再生対象の企業の規模がかなり大きなものが多かったのですが、現在中規模企業に適用されている中小企業再生支援協議会よりさらに小規模の企業にも適用できる制度の創設が議論されているそうです。

⑶はみなさんが真剣に聞いていました。弁護士が弁護過誤だとして責任追及される事例が増えていることだけに止めておきます。

⑷は企業にとって問題のある社員を類型化し、それぞれに対する対応と実際の裁判例の紹介があり、とてもためになりました。

一昨年から継続して参加している研修ですが、本当に勉強になります。

日々目の前の事件の対処ばかりに負われていると自己研鑽の時間を意識的に取るのが難しいので、この機会は大事にしていきたいと思います。