最近、依頼を受けていた案件が終了したことで、事件ファイルを記録棚の隅に移したりすることが増えてきたのですが、ふと思ったことが。
うちの業界は、ペーパレス化が進んでいないなということ。
時代は電子化だ、クラウドだ、ユビキタスだ、などとマスコミは喧伝していますが、民事訴訟規則は書類の送達にファックスを認めていても、メールなどは認めていません。同じ法律でも、会社法は株主総会招集通知を電子メールで発送することも場合によっては可能としている(会社法299条3項など)ことなどに比べると、違いを感じます。
弁護士の中には、手書きの手帳ではなくてPDAやスマートフォンでスケジュール管理をしたり、事務所のメールを携帯電話に転送したりして、出先でも仕事をこなす方もおられますが(一般の会社では当たり前のことでしょうが)、私なんかはあまりその気にはなりません。というのも、事件記録は個人情報のかたまりですから紛失が怖いですし、裁判の書類は通常はA4版の紙に12ポイントの字、字数は37文字、行数は26文字という余裕のある構成で書かれているため、ちょっとの事件でもかなりかさばります。
かといって、オフィス複合機のソーターで全ての事件記録をスキャン、PDF化してタブレット端末で持ち運ぶことも考えられますが(端末には暗号をかけます)、厚みのある紙媒体では「この記録のこの辺の真ん中あたり」といった感覚で把握できていた重要箇所も、電子データでは全くわかりません。最近のソフトでは付箋を付ける機能もありますが、やはり100頁を超えるものとなると、使いづらいです。
そうなると、やっぱりいつもの紙に落ち着いてしまい、ずるずる来てしまった感があります。当面は紙から離れられないでしょうね。
ところで、私は先月からスマートフォンに機種変更したのですが、法令検索には便利です。というのも、自治体や社会福祉協議会主催の法律相談を担当するとき、今まで遭遇したことのない相談が持ち込まれて、関係法令を調査したくなったとき、インターネットに接続して色々な法令を検索することができるからです。総務省の法令データ提供システムは非常に多くの法令を調べることができます。それも無料です。
ただ、私が契約している判例検索システムを利用するには、スマートフォンの画面は小さすぎるので、モバイルPCがあればいいなとは思ってます(出先に持って行くのが億劫なので、あまり持ち運んでいませんが)。